精神疾患を持つ当事者におけるパーソナル・リカバリー:関連要因についてのシステマティックレビューとメタ解析

No 00063
和題(和訳) 精神疾患を持つ当事者におけるパーソナル・リカバリー:関連要因についてのシステマティックレビューとメタ解析
文献情報 Leendertse JCP, Wierdsma AI, van den Berg D, Ruissen AM, Slade M, Castelein S, Mulder CL: Personal recovery in people with a psychotic disorder: A systematic review and meta-analysis of associated factors. Frontiers in Psychiatry 12:622628, 2021.
DOI 10.3389/fpsyt.2021.622628
URL https://doi.org/10.3389/fpsyt.2021.622628
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抄録(和訳)

【背景】

パーソナル・リカバリーは主観的で多次元的な概念である。近年、パーソナル・リカバリーをアウトカムとする量的な研究が急速に増加している。本システマティックレビューは、(CHIMEフレームワークで整理されている)パーソナル・リカバリーの概念に関連する臨床的要因,社会的要因,人口統計学的属性などを含む、パーソナル・リカバリーの関連要因と重要性の概要を示すことで、精神疾患のパーソナル・リカバリーに寄与する介入のデザインを進展させることを目的としている。

【方法】

2020年3月までに公表された論文を対象に、系統的な文献検索を行った。パーソナル・リカバリーの概念を評価する妥当性のある尺度を使用した定量的研究を対象とした。パーソナル・リカバリー尺度の総得点と関連因子との関係について、メタアナリシスを用いて平均効果量を算出した。また、メタ回帰分析を用いて異質性の原因を検証した。

【結果】

8つのパーソナル・リカバリー尺度を用いた46の研究において、臨床的要因では、気分症状がパーソナル・リカバリー尺度の総得点と中程度の負の相関を示し(r = -0.44, 95%CI -0.50 to -0.37)、陽性症状、陰性症状、一般症状は小さな負の相関を示した。神経認知との関連は認められませんでした。社会的要因(サポート、仕事と住居、機能)は小さな正の相関を示した。性差や年齢差はほとんど調査されていなかった。パーソナル・リカバリー尺度の総得点は、CHIMEの「希望」(r = 0.56, 95%CI 0.48-0.63)、「人生の意義」(r = 0.48, 95%CI 0.38-0.58)、「エンパワーメント」(r = 0.53, 95%CI 0.42-0.63)と大きな関連性が認められ、「つながり」(r = 0.34, 95%CI 0.43-0.65)、「アイデンティティ」(r = 0.43, 95%CI 0.35-0.50)とは中程度の関連性が認められた。異質性のレベルは高く、その原因としては、パーソナル・リカバリー自体の多様性、基本属性のばらつき、出版バイアス、アウトカム指標のばらつき、文化的差異などが挙げられた。

【結論】

精神保健ケアにおける介入の多くは、症状の軽減と機能の改善を目的としている。パーソナル・リカバリーを促進するためには、これらの介入が、希望、エンパワーメント、および人生の意義を高めることにも焦点を当てるとよいかもしれない。本研究は、CHIMEの次元とパーソナル・リカバリーの概念のアンケート(尺度)結果の比較という限界と、異質性が高いという限界がある。今後の研究は、パーソナル・リカバリーの要素と臨床的・社会的要因との間の経時的な相互作用に注目すべきである。