公共職業安定所の職員における意識は、individual placement and supportの原則に沿っているか?アンケートによる調査

No 00070
和題(和訳) 公共職業安定所の職員における意識は、individual placement and supportの原則に沿っているか?アンケートによる調査
文献情報 Brinchmann B, Rinaldi M, Sandtorv E, Moe CF, McDaid D, Killackey E, Mykletun A: Are attitudes in employees of public employment service in line with the principles of individual placement and support? A questionnaire-based survey. Social Policy & Administration 56(4):681-692, 2022.
DOI 10.1111/spol.12828
URL https://doi.org/10.1111/spol.12828
無料での
文献入手
可能

抄録(和訳)

重度の精神疾患を持つ人の多くは、働きたいと考え、リカバリーに不可欠と考えているが、就労率は依然として低い。公共職業安定所(≒日本でいうハローワーク)の職員の多くは、重度の精神疾患の人は働けない、働けば仕事に関連したストレスで危険に晒されるという伝統的な考え方に従って働いています。このような考え方は、individual placement and support(IPS)のようなエビデンスに基づく就労支援モデルの原則と相反し、おそらく低い就労率に起因している。本研究の目的は、IPSに触れたことのある(曝露のある)公共職業安定所職員と触れていない(曝露のない)職員における、IPSの原則に対する態度を調査することであった。重度の精神疾患を描写したビネット(ケースを紹介する書物)と、このビネットに言及した紹介文を作成し、4年間隔の2つの時点で公共職業安定所職員に調査を実施した。回答者は、IPSの原則に従った記述に対して、6段階のリッカート尺度で態度を示した。IPSを導入している自治体と導入していない自治体の回答者の違いを分析するために、対応のないt検定(両側)を使用した。IPSへの曝露の有無によって態度が経時的に変化するかどうかを検証するために、態度を従属変数とする重回帰分析を実施した。現在の 公共職業安定所の実践と比較すると、態度は概して IPS の原則に沿ったものであった。IPSに曝露した自治体では、より好意的な態度を示した(p < 0.01)。態度の変化は時間の経過とともにほとんどなく、地域間でも差がなかった(p < 0.287)。公共職業安定所の職員の態度は、IPSの原則に沿うものであり、IPSに曝露された場合はよりIPSの原則に近い態度となる。