中等度から重度の精神疾患当事者の就労を治療現場に取り込むための、精神保健の健専門家の期待と取り組み

No 00074
和題(和訳) 中等度から重度の精神疾患当事者の就労を治療現場に取り込むための、精神保健の健専門家の期待と取り組み
文献情報 Finne J, Holt K: Mental health professionals’ expectations and efforts to include employment for people with moderate to severe mental illness in treatment settings. BMC Psychiatry 23(1):82, 2023.
DOI 10.1186/s12888-023-04568-4
URL https://doi.org/10.1186/s12888-023-04568-4
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抄録(和訳)

【背景】

先行研究は、精神疾患当事者のリカバリーと生活の質の向上のためには、雇用が重要な要素であることを示唆している。精神保健の専門家は、しばしば就労支援のゲートキーパーとしての役割を果たすが、ノルウェーにおける当事者の雇用に関する専門の考えについてはほとんど知られていない。本研究の目的は、治療的な場において、精神保健の専門家が中等度から重度の精神疾患当事者の雇用やその取り組みに関して、どのように考えているかについて調査することである。

【方法】

ノルウェー全土の自治体の精神保健サービス、専門クリニック、ソーシャルメディア、専門家のネットワークから207人の精神保健専門家を募集した。参加者は、①属性に関する質問、②現在の実践、③3つの下位尺度で構成される妥当性が担保された自記式尺度Expectations for the Employability of People with Serious Mental Illness(EESMI)の改訂版からなる調査パッケージに回答した。

【結果】

調査結果から、(参加者は)中等度から重度精神疾患当事者の雇用に対して、全体的に前向きであった。また、当事者との共同ミーティングに参加する頻度が低い者と比較し、頻度の高い専門家ほど就労に対して前向きであった。また、他の専門職と比較して、精神科医は雇用に対してより否定的な考えを抱いていた。最後に、半数以上の専門職が、当事者との相談において、雇用に関する議論や就労に向けた活動を扱う日常実践を組み込んでいると回答したが、その日常実践には大きな違いがあった。

【結論】

これらの結果は、ノルウェーの精神疾患当事者の治療環境において雇用を統合する努力がなされていることを示唆している。しかしながら、障壁を取り除き、エビデンスに基づくアプローチを促進するためには、さらなる努力が必要である。