精神疾患当事者に対する援助付き雇用プログラムの経済分析: システマティック・レビュー

No 00075
和題(和訳) 精神疾患当事者に対する援助付き雇用プログラムの経済分析: システマティック・レビュー
文献情報 Park AL, Rinaldi M, Brinchmann B, Killackey E, Aars NAP, Mykletun A, McDaid D: Economic analyses of supported employment programmes for people with mental health conditions: A systematic review. European Psychiatry 65(1):e51, 2022.
DOI 10.1192/j.eurpsy.2022.2309
URL https://doi.org/10.1192/j.eurpsy.2022.2309
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抄録(和訳)

【背景】

就労は、精神疾患からの回復に重要であり、人々が自立して生活できるようにするものである。系統的レビューによると、individual placement and support(IPS)モデルを含め、競争的雇用に焦点を当てた援助付き雇用(supported employment: SE)は、精神疾患当事者が働くことを支援するのに効果的である。しかし、費用対効果に関するエビデンスは限られている。私たちは、SE/IPSプログラムの経済的側面に関するエビデンスを包括的にレビューした。

【方法】

PubMed/MEDLINE、EMBASE、PsycINFO、CINAHL、IBSS、Business Source Complete、EconLitで、精神疾患に対するSE/IPSプログラムの経済分析、投資対効果分析を検索した。従来の職業リハビリテーション、保護的就労、1年未満の病気欠勤後の職場復帰の取り組みは除外された。本研究は、2人の調査員が独立して審査した。研究の質は、Consolidate Health Economic Evaluation Reporting Standardsのチェックリストを用いて評価した。プロトコルはPROSPERO-CRD42020184359に事前登録されている。

【結果】

40,015件の文献から対象研究を選定した。その結果、28研究がIPSの経済的側面を評価し、4研究が他の介入で補強されIPSを評価し、24研究が他の形態のSEを調査していた。研究は非常に異質であり、質も様々であった。研究の品質スコアが50%を超える41件の研究のうち、10研究が質調整生存年(quality-adjusted life year: QALY)あたりのコスト(SE/IPSに有利な結果:8研究)、14研究の純金銭便益(SE/IPSに有利な結果:12研究)、5件の投資収益率(SE/IPSに有利な結果:4研究)、20研究が雇用成果あたりのコスト(SE/IPSに有利な結果:14研究、結論不可:1研究、、SE/IPSに不利な結果:1研究)を報告していた。これら41件の研究のうち24件が、SE/IPSプログラムの追加コストを上回る金銭的便益を有していた。

【結論】

SE/IPS プログラムの実施には、強力な経済的根拠がある。プログラムの長期的な影響に関する証拠は限られているため、経済的なケースは保守的である。