精神科の労働障害評価における当事者中心の会話と労働能力評価の再現性

No 00078
和題(和訳) 精神科の労働障害評価における当事者中心の会話と労働能力評価の再現性
文献情報 Rosburg T, von Allmen DY, Langewitz H, Weber H, Bunker EB, Langewitz W: Patient-centeredness in psychiatric work disability evaluations and the reproducibility of work capacity estimates. Patient Education and Counseling 119:108093, 2024.
DOI 10.1016/j.pec.2023.108093
URL https://doi.org/10.1016/j.pec.2023.108093
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抄録(和訳)

【目的】

精神科における労働障害評価における患者中心の会話(Patient-centeredness)の程度と労働能力評価(work capacity estimates)の再現性との関連を検証すること。

【方法】

本混合法研究では、精神科における労働障害評価で行われた29のビデオテープ面接をRoter Interaction Analysis System(RIAS)を用いてコード化し、これらのコード化から要約患者中心コミュニケーション比率を含む患者中心の会話(Patient-centeredness)の多様な尺度を導き出した。4人の専門家がそれぞれ、0%から100%までの尺度でクライエントの労働能力評価を推定した。

【結果】

一般的に、患者中心のコミュニケーション比率は常に1以上であり、心理社会的な情報交換が圧倒的に多いことが示唆された。これとは対照的に、共感を示す発話はまれであった。例えば、専門家は29人中25人の面接で、クライエントの感情について言及しなかった。導き出された患者中心の会話(Patient-centeredness)の尺度は、いずれも労働能力評価の再現性と有意な関連を示さなかった。

【結論】

専門家の質問の多くは、クライエントの生活様式や心理社会的状況を取り上げていた。しかしながら、これは患者中心の会話(Patient-centeredness)というよりも、専門家の意見に対する事実の要求を反映している可能性が高い。実際、専門家は、患者中心の会話(Patient-centeredness)の特徴である共感をほとんど示さなかった。労働能力評価の再現性は、患者中心の会話(Patient-centeredness)の量によって変変化することはなかった。

【実践への示唆】

労働障害評価における患者中心の会話(Patient-centeredness)は、専門家の継続的な教育にも導入されるべきである。