精神障害者に対する持続可能な職業リハビリテーションの実施のためのロードマップとそのアウトカム:質的評価

No 00080
和題(和訳) 精神障害者に対する職業リハビリテーションの持続可能な実施のためのロードマップとそのアウトカム:質的評価
文献情報 Noteboom Y, van Nassau F, Bosma AR, van der Hijden EJE, Huysmans MA, Anema JR: A roadmap for sustainable implementation of vocational rehabilitation for people with mental disorders and its outcomes: a qualitative evaluation. International Journal of Mental Health Systems 18(1):7, 2024.
DOI 10.1016/j.pec.2023.108093
URL https://doi.org/10.1186/s13033-023-00620-8
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抄録(和訳)

【背景】

精神障害当事者は、精神障害のない人に比べて働く機会が少ない。このような人々の労働機会を高めるために、しばしば職業リハビリテーションの介入が行われる。このような介入を実施する際に専門家が最適なパフォーマンスを発揮できるようにするためには、メンタルヘルスケア部門と社会保障部門の協力が必要である。しかし、規制や財政的な障壁が、しばしば持続可能な実施を妨げている。これらの障壁を克服するために、共有型予算戦略に基づく持続可能な資金調達のための実験的ロードマップが、4つの地域で試験的に実施された。今回の質的研究の目的は、このロードマップの利用方法と、実験のプロセスにおいて重要であった要因について理解を深めることである。

【方法】

ロードマップは、共有型予算戦略と実装科学の知見に基づく5つのステップから構成され、各国の運営委員会によって開始された。ロードマップは、職業リハビリテーション介入を実施するための持続可能な資金調達協定(共有型予算に基づく)を結ぶことを目的とした。4つの地域で、精神医療と社会保障サービス部門の関係者がロードマップに従った。ロードマップのプロセスを評価するために、実験に参加した関係者とプロジェクトリーダーとのインタビュー(n = 16)を実施し、54セットのフィールドノートと文書を収集した。データの分析にはテーマ分析を用いた。

【結果】

ロードマップに導かれた後、各地域は職業リハビリテーションをめぐる関係者の協力が改善されたと認識した。3つの地域は、協力と資金調達に関する協定を結んだか、結ぶ予定であったが、共有型予算に基づくものではなかった。さらに、ロードマップの作成には予想以上に時間がかかった。ステークホルダーの協力は、個人的・組織的関心や協力の条件・価値観といった要因に左右された。財政的な法律や政治は障壁とみなされ、個人的な動機はこのプロセスにおける促進要因として言及された。

【結論】

持続可能な金銭的合意はまだなされていないものの、ロードマップはステークホルダーがより持続可能な協働を確立することを支援することが示された。参加者は、財務的洞察の機能や財源の必要性は認めているものの、協力の原動力は、不公平な財務分配の問題を解決することよりも、当事者視点(を取り入れること)を改善することにあることがわかった。このことは、ロードマップの焦点を経済的な利益から当事者の視点の改善に当てることを示唆している。