Individual placement and supportに関わった経験:質的研究のメタ・エスノグラフィック文献調査と統合

No 00056
和題(和訳) Individual placement and supportに関わった経験:質的研究のメタ・エスノグラフィック文献調査と統合
文献情報 Moen EÅ, Walseth LT, Larsen IB: Experiences of participating in individual placement and support: a meta-ethnographic review and synthesis of qualitative studies. Scandinavian Journal of Caring Sciences, 2020 [Online ahead print]
DOI 10.1111/scs.12848
URL https://doi.org/10.1111/scs.12848
無料での
文献入手
可能

抄録(和訳)

【目的】

Individual placement and support(IPS)において、利用者、就労支援専門員、福祉サービスのソーシャル・ワーカー、精神保健サービスの医師がどのような体験をするかについて、理解を深めること。

【方法】

本研究は複数の学術データベースを用いて対象研究を探した。2007年から2017年の間にスウェーデン、米国、カナダ、英国、豪州、デンマークで出版された17研究が対象となった。本研究は、対象研究についてメタ・エスノグラフィックによる再解釈と(エビデンスの)統合を行った。

【結果】

就労支援専門員は、働くことをリカバリーの手段の一つとして捉えるIPSの中心的哲学を踏襲していた。彼らは、利用者の好みやニーズを健康とウェルビーイングにとって重要なものとし、職業リハビリテーションの成功にとって不可欠なものとしてみていた。これらの目標を達成するために、就労支援専門員は利用者と個別化された関係性を構築していた。利用者は、個別化されたリカバリー志向の考え方を明らかに高く評価していた。さらに、利用者は健康(疾患・障害)の問題と労働市場からの期待との間にある既存の文化的仲介役として就労支援専門員を必要としていた。ソーシャル・ワーカーには、そのような個別化された支援についての資源が不足しており、彼らは「訓練してから就労(train then place)」モデルに基づく福祉制度の下で働いている。そして、(そのような環境で働く)ソーシャル・ワーカーの視点は、「就労しながら訓練モデル(place then train)」のIPSが有する(働くことがリカバリーにつながるという)視点とは対立していた。本研究においては、医師の経験による知識不足が、リカバリーへの一手段としての就労を懐疑的にみていることにつながっており、それがIPSとの対立になっていると思われた。

【結論】

利用者は、個別化された支援の重要性を強調していた。ソーシャル・ワーカーと一部の医師は、就労に向けた(重要な)個別化された支援を提供することを難しいと考えていた。伝統的な段階的職業リハビリテーションのパラダイムとリカバリーの一手段とするIPSアプローチとの考え方の対立は、両者の苦悩と距離感を説明できるかもしれない。