精神疾患の当事者とそうでない者に対する短時間ワーク・コーチングにおける効果と副作用

No 00082
和題(和訳) 精神疾患の当事者とそうでない者に対する短時間ワーク・コーチングにおける効果と副作用
文献情報 Werk LP, Muschalla B: Effects and Side Effects in a Short Work Coaching for Participants with and without Mental Illness. Behavioral Sciences 14(6):462, 2024.
DOI 10.3390/bs14060462
URL https://doi.org/10.3390/bs14060462
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抄録(和訳)

精神疾患の従業員は、複雑化する心理社会的な仕事の要求に対処できないことが多い。しかし、精神疾患ではない従業員も、例えば高負荷の仕事などに悩まされることがある。本研究では、精神疾患の従業員とそうではない従業員に対して、仕事能力を安定させるための短期間のコーチングを実施し、コーチングのテーマ、仕事に関連する資源、目標達成、望ましくない出来事に対する効果について比較した。異なる職種の従業員を対象に、3セッション(行動分析による問題探索、新しい行動の実践、リフレクション)の個別コーチングを実施した。参加者が精神障害に罹患しているかどうかを調べるため、病歴を調べた。すべてのコーチングは、経験豊富な行動療法士の監督のもと、同じ行動療法士によって行われた。3セッションを包含した203回のコーチングが行われた。参加者において、精神疾患のない者が103名(51%)、精神疾患のある者が100名(49%)であった。コーチング参加者のうち精神疾患の参加者は、精神疾患のない参加者と比較して、仕事に関する能力(より重度の障害)および対処行動の初期レベルが低かった。事前事後比較では、両群ともコーチング後、仕事に関連したコーピングが有意に改善した。目標達成については、両群間に差はなかった。精神疾患のない参加者は、コーチングと並行して望まない出来事をより多く報告した(30%が人生における否定的な出来事を報告)のに対し、精神疾患のある参加者は、コーチングに関連した望まない出来事を報告した(20%がコーチに依存していると感じた)。1つのトピックに焦点を当てたコーチングは、精神障害の有無にかかわらず、参加者の仕事に関する資源(対応)を改善することができる。精神疾患のある参加者とない参加者とでは、コーチングで経験する望ましくない出来事が異なるため、適切な焦点を設定するためには、心理療法的な専門知識が必要である。