No | 00083 |
和題(和訳) | IPSフィデリティの第三者評価者と自己評価の比較分析:反復横断調査 |
文献情報 | Yamaguchi S, Koike J, Igarashi M, Kawaguchi T, Shiozawa T, Usui K, Iwanaga M, Matsunaga A, Yoshida K, Sato S, Fujii C: Comparative analysis of independent reviewer-rated and self-rated fidelity scores in individual placement and support programs: Repeated cross-sectional surveys. Administration and Policy in Mental Health and Mental Health Services Research, 2024. |
DOI | 10.1007/s10488-024-01413-y |
URL | https://doi.org/10.1007/s10488-024-01413-y |
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抄録(和訳)
フィデリティ(忠実度)評価は、精神疾患当事者の職業的アウトカムを向上させるindividual placement and support programs(IPS)モデルの維持に貢献できる。第三者によるレビューは標準的なものであるが、自己評価はIPSの実施の幅を広げる可能性がある。本研究では、日本語版個別型援助付き雇用フィデリティ尺度(Individualized Supported Employment Fidelity Scale: JiSEF)を用いて、独立した第三者評価によるフィデリティ評価と自己評価によるフィデリティ評価を実施し、日本における就労アウトカムとの相関の観点から2つの評価方法を比較することを目的とした。3年間の研究期間中、26事業所において、独立した評価者と訓練を受けた事業所スタッフによってフィデリティ評価が実施され、合計58の調査が行われた。分析には、各項目の得点の比較のためのカッパ統計、合計得点の比較ための級内相関係数(intra-class correlation coefficient: ICC)と対応のあるt検定、フィデリティ得点と事業所レベルの就労率との関係を調べるためのピアソンの相関が用いられた。JiSEFの多くの項目は、第三者評価と自己評価との間で、一定の信頼性を示した。2つの評価方法間の合計得点のICCは0.756であったが、自己評価得点の分布は第3者評価得点の分布に比べてよりばらつきがあった。自己評価による平均得点は、第3者評価による得点よりも有意に低かった(t = 2.072, P = 0.043)。2つの評価方法の得点は就労率と有意な相関があったが(第三者評価:r = 0.640, P < 0.001、自己評価: r = 0.325, P = 0.013)、相関係数は第三者評価の方が強かった(z = 2.207, P = 0.027)。自己評価による忠実性評価にはいくつかの利点がある。しかし、第三者評価は、より正規分布で、就労アウトカムとの相関が高いことから、日本のIPSの枠組みにおけるフィデリティ評価の優先順位は、第三者評価にある。