No | 00084 |
和題(和訳) | 雇用と社会的統合は、心理的・経済的苦痛よりも絶望の死とより強く関連しているか? |
文献情報 | Glei DA, Lee C, Brown CL, Weinstein M: Are employment and social integration more strongly associated with deaths of despair than psychological or economic distress? Social Science & Medicine 357:117197, 2024. |
DOI | 10.1016/j.socscimed.2024.117197 |
URL | https://doi.org/10.1016/j.socscimed.2024.117197 |
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抄録(和訳)
薬物・アルコール・自殺に関連する米国の死亡率の上昇について、「絶望死」というラベルが貼られている。しかし、デュルケム的アプローチは、根底にある構造的要因が個人の行動や感情を形成していると主張する。絶望死に関する文献が増加しているにもかかわらず、絶望死と他の死亡原因における苦痛と構造的要因の影響を直接比較した研究はない。約26年間の死亡追跡を有するMidlife in the United States研究のデータを用いて、心理的または経済的苦痛、雇用状態、および社会的統合(≒人との交流)が、薬物・アルコール・自殺による死亡と他の原因よりも強く関連しているかどうかを評価した。潜在的交絡因子で調整したCoxハザードモデルの結果、他の原因による死亡率と比較し、心理的または経済的苦痛が薬物・アルコール・自殺に関連した死亡率とより強く関連しているという証拠はほとんど示されなかった。苦痛の尺度はこれらの死亡とわずかではあるが有意に関連していたが、その関連の程度は他の多くの種類の死亡と同程度であった。これとは対照的に、労働力からの離脱と社会的統合の低下は、ともに薬物・アルコール・自殺による死亡と強く関連しており、その関連の程度は他の多くの種類の死亡よりも大きかった。25歳から65歳までの間に絶望死する推定割合の差は、否定的感情(否定的感情が高い:1.2% vs 否定的感情がない者:0.8%)と比較し、雇用形態(就業も退職もしていない者:2.0% vs現在就業している者:0.6%)と社会的統合度(低統合度:1.9% vs 高統合度:0.7%)においてよりも大きかった。苦痛と薬物・アルコール・自殺死亡率との間の関連の大部分は、構造的因子との交絡、および苦痛の認知と死亡リスクの両方に影響を及ぼす可能性のある既存の健康状態との交絡から生じるようであった。絶望死は自己破壊的行動から生じるが、われわれの結果は、構造的要因が主観的苦痛よりも重要な決定因子である可能性を示唆している。